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通信員レポート
東北の山を眺める(#5)/ 岩手山を南と西から
2024.07.20
みちのくの山野草探報者「モウズイカ」さんからの「東北の山を眺める」シリーズ5回目です。
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南から見た岩手山と言えば、まずは県都盛岡の街中から見た姿からと思いましたが、手持ち写真が全くありません。
理由は私が盛岡に住んでおらず、通過するだけの街だったからでしょう。
かわりに同じような方角から見た写真二枚から始めます。
滝沢市の柳沢(マップではA)から。山頂部の岩鷲の雪形が微かに見えます。
同じく滝沢市の春子谷地湿原(マップではB)から。
右(東)側は富士山型の山容なのに、
左(西)側は深い谷を刻んだ山容の稜線が続いています。
いわゆる『南部片富士』とはこの姿形を言うのかなと思います。
フィールドガイド日本の火山4 東北の火山(高橋正樹+小林哲夫・編、築地書館・発行)によると、現在の岩手山は大まかには東西に並ぶふたつの山体から成っており、東側の最高峰は薬師岳で高さは2038mですが、かつてはもう少し高く、2200mくらいあっただろうとのこと。
だとしたらかつては鳥海山と同じくらいの高さだったことになります。
岩手山の南西側には、鬼ヶ城と呼ばれる高さ1600~1840mの険しい稜線が連なっていますが、これはカルデラを形成した西岩手火山の南側の山体の名残りです。
岩手山を南側から望むと、西岩手火山の名残りの稜線が屏風のように立ち並びます。
ここから望む姿は盛岡市街地から望む姿に次いで有名かと思いますが、個人的には富士山からは程遠い姿だと感じています。
それは東岩手火山が古くて低い西岩手火山のかげに隠れてしまうせいでしょう。
しかし雫石盆地を更に南下すると薬師岳がまた突き出して見えるようになり、再び南部片富士の姿に戻ります。
雫石町御明神付近(マップではD)から。
岩手県の西側には奥羽山脈が南北に走っており、岩手山はその山脈から少しだけ東に突き出たように聳えています。
そのため、西から岩手山を眺めるためには必ずと言っていいほど山の上に登らなければなりません。
岩手山の西側の姿が最もよく見えるのは、三ッ石山(1466m)です。
三ッ石山(マップではE)から見る岩手山は大きなカルデラ(西岩手カルデラ)が開いています。
カルデラ壁は北(左)側が屏風尾根、南(右)側が鬼ヶ城、その奥深くに薬師岳が聳え、カルデラの手前を塞ぐように姥倉山(1517m)や黒倉山が聳えています。
続いて秋田駒ヶ岳(男岳に登る途中)(マップではF)から見た姿は割とシンプルな台形です。
岩手山は名前の通り、岩手県が独占している山のように思われますが、実は青森県と秋田県からも見えます。
青森県からは八甲田山などの山に登らなければ見えませんが、秋田県からは平地からも見えます。
それは大仙市大曲付近ですが、仙岩峠の鞍部越しに岩手山の山頂部が見えます。
なお大曲の西にある大平山(姫神山)(387m)に登ると更によく見えます。
ここからは秋田駒ヶ岳と岩手山が兄弟のように並んで見えます。
次回は本シリーズの最終回です。
青森の名山、岩木山を予定しております。
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