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山の日レポート

山の日レポート

山の日 TOKYO 2024

蔵王のシンボル「コマクサ」

2024.07.01

全国山の日協議会

山形市のチクワさんからのレポートです

 令和4年8月に第6回「山の日」全国大会が開催された蔵王・熊野岳(1,841m,山形県/宮城県)周辺には、6月中旬から7月上旬にかけてコマクサが咲き誇ります。
 コマクサは別名「高山植物の女王」と呼ばれる花。寒さや強風、乾燥など、環境の厳しい高山帯でも特に厳しく、ほかの高山植物が生えることができないような稜線の砂礫地に咲く、孤高の花です。
 今年は積雪量が少なく、春の暑さも相まって例年と比べて雪融けが異常に早い年でしたので、コマクサの開花の時期もいくらか早いだろうと、天気予報とにらめっこをしながら梅雨入り直前に熊野岳山頂付近の群生地に様子を見に行ってきました。

朝陽を浴びるコマクサ

荒涼とした砂礫に鮮やかなカラーリングが生えます

エメラルドグリーンの御釜の湖面とコマクサ

 ここ蔵王のコマクサは、かつてはもっと個体数が多かったと伺ったことがあります。
 心無い方の盗掘や、観光バスが大挙して訪れた時代の踏圧などで多くが失われたものと思います。今でも、砂礫の中に昔懐かしい缶ジュースのプルタブが見つかることもあります。

 一方で、この厳しい環境はコマクサの独壇場。他の植物が生育できないので、植生保護ロープの内側や、ふだん登山客が立ち入らない場所では、まさしく足の踏み場もないほどにコマクサが緑白色の繊細な葉を広げていたりします。

保護ロープを超えて登山道に出てきたコマクサとそれを守るための石組み

 蔵王では、熊野岳周辺のコマクサ、不忘山周辺のユキワリコザクラとハクサンイチゲ、御田の神湿原周辺のチングルマ、ヒナザクラやコバイケイソウなど、火山活動や地形、気象条件や積雪などによる植生の垂直分布・水平分布が非常に豊かではっきりとしています。ですが、近年の急激な温暖化、小雪化は、こうした豊かな植生を単相的なものにしていってしまうのではないかと危惧されてなりません。

 50年後、100年後に、「昔は蔵王にコマクサがいっぱい生育してたんだけど…」と言われないよう、私たちが今できることはしっかりとしていきたいものです。

御釜と太平洋からの日の出

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