山の日レポート
通信員レポート「これでいいのか登山道」
【連載】これでいいのか登山道
2024.04.01
登山道法研究会では 、日本の登山道が抱える現状をいくつもの側面から捉え、とるべき方策を検討し、最終的に法整備ができないだろうかと、山岳・自然に関するさまざまな分野の有志が集まって勉強会を続けています。
月に2回ほどのペースで会合を開催していますが、今回は2月2日に行われた勉強会のレポートと、4月19日に予定されている次回会合のご案内をさせて頂きます。
文・写真 久保田賢次(登山道法研究会広報担当)
去る2月2日、東京新橋の生涯学習センターにて、山梨県北杜市で官民連携による登山道保全の仕組み作りを推進している花谷泰広さん(一般社団法人北杜山守隊代表理事)を講師に迎えて勉強会を開催しました。
テーマは「山梨県北杜市における登山道保全への取り組み」というもので、地域関係者のみに支えられたボランティア活動の限界や、高齢化に伴う担い手や財源の不足により、維持管理作業ができず放置され、荒廃する登山道が増加してしまうという背景のなか、登山道保全の仕組みの再構築に取り組んでいる状況をうかがいました。
花谷さんは2007年に北杜市に移住、2017年から甲斐駒ヶ岳の山小屋の経営に関わり、現在は山麓の二つの宿泊施設の運営もされており、「北杜市において山と共に生きるまちづくりを進めたい」というビジョンで動かれています。
山小屋の指定管理者として株式会社を作り、人を呼び込むための発信を重ねるなか、登山道の保全にも取り組むことになりました。登山道の整備は「面白い」ということに可能性を感じ、ツアーの開催という手段を思いついたそうです。
エキスパートだけではなく、登山者自らが登山道を守る仕組みを作る必要性を痛感。課題は担い手と財源の不足で、まずは自分の地域で、環境保全とツーリズムを組み合わせた取り組みをしようと考えました。
日帰りと1泊2日のツアー形式でワークショップを開催し、参加者に会員として登山道の修復作業に従事してもらうという方法で、現在、会員は40名程度とのことです。
台湾の「千里歩道協会」というロングトレイルの管理を担っている民間団体の活動の様子や、アメリカでの事例などもご紹介いただきました。
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日時:4月19日(金)14:00〜17:00
場所:青山生涯学習センター学習室2(東京都港区)
テーマ :
「登山道から山の道へ〜多様な主体と登山道を共有・管理する手法の実践と課題〜」
講師:平野 悠一郎さん、弭間 亮さん
参加費:無料
参加申し込み:登山道法研究会広報担当 久保田まで gama331202@gmail.com
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登山道の管理や整備の必要性が問われながらも、実態としては管理主体の不在や財源不足、担い手不足等なかなか進まない現状があります。
登山道を森林へアクセスするための重要なインフラ(山の道)と捉えれば、そこには、登山者のみではない多様な主体(トレイルランナー、マウンテンバイカー、狩猟者、林業者等)の存在が見えてきます。
前回の勉強会では登山者として整備を実践する花谷さんのお話を伺いましたが、今回は、マウンテンバイカーなど登山者以外の主体が、どのように登山道整備、管理を実践しているのか、その事例と課題を研究者、実践者の方々から報告頂きます。
そこから、山の道を多様な主体が共同管理することや保安林規制も含め、どうすれば可能なのかを考えます。
【平野 悠一郎さん】東京都出身。北海道大学文学部、東京大学大学院総合文化研究科を修了(博士:学術)。2008年から国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所にて、研究員として勤務。中国、アメリカ、イギリス、日本等を中心に、森林政策とその社会への影響、森林をめぐる多様な価値・便益の調整と多面的利用の推進について研究している。主な著作に、『中国の森林・林業・木材産業 : 現状と展望』、『マウンテンバイカーズ白書 : 持続的な生涯スポーツとしてのMTB 』、『地域森林管理の長期持続性:欧州・日本の100年から読み解く未来』)など。
【弭間 亮さん】 山形県鶴岡市出身。英リーズ大学卒業。シノベイト(現ipsos日本法人)、アウトドアブランド、モンベルでの勤務を経て、一般社団法人「南アルプス山守人」と南アルプスマウンテンバイク愛好会を創設。それらを統括する「YAMANASHI MTB 山守人」代表を務める。山守人として令和4年度「自転車活用推進功績者表彰(国土交通大臣表彰)」を受賞。
登山道法研究会では、これまでに2冊の報告書を刊行しています。こちらは本サイトの電子ブックコーナーで、無料でお読み頂けます。
https://yamanohi.net/ebooklist.php
また、第2集報告書『めざそう、みんなの「山の道」-私たちにできることは何か-』につきましては、紙の報告書をご希望の方に実費頒布しております。
ご希望の方は「これでいいのか登山道第2集入手希望」として、住所、氏名、電話番号を記載のうえ、郵便またはメールにてお申し込みください。
●申込先=〒123-0852 東京都足立区関原三丁目25-3 久保田賢次
●メール=gama331202@gmail.com
●頒布価格=実費1000円+送料(370円)
※振込先は報告書送付時にお知らせいたします。
報告書の頒布は、以下のグーグルフォームからも簡単にお申込み頂けます。
報告書申し込みフォーム
先に刊行致しました「第1集報告書」は在庫がございませんが、ほぼ同内容のものが、山と渓谷社「ヤマケイ新書」として刊行されています。
ヤマケイ新書 これでいいのか登山道 現状と課題 | 山と溪谷社 (yamakei.co.jp)
また、このコーナーでも、全国各地で登山道整備に汗を流している方々のご寄稿なども掲載できればと思います。
この記事をご覧の皆さまで、登山道の課題に関心をお持ちの方々のご意見や投稿も募集しますので、ぜひご意見、ご感想をお寄せください。
送り先=gama331202@gmail.com 登山道法研究会広報担当、久保田まで
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