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山の日レポート

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通信員レポート

西別岳とタンポポ協力隊:その2

2023.06.26

全国山の日協議会

文・写真提供:泉知明さん

北海道の泉知明さんから、標茶山岳会、タンポポ協力隊の皆さんによる、西別岳登山道整備、外来植物駆除の活動報告 その2です。

▼▼▼
僕は標茶山岳会ではありませんが、一般登山者でこの活動の協力を行ってきました。

 登山道入り口に、たんぽぽ駆除用ビニール袋も設置されていますので、それをもらって登山開始です。
 当初は登りで西洋タンポポを駆除しようとしましたが、ガマン坂をこなすのに精一杯となり、登りでは駆除場所にあたりをつけて下山時にしようと決めました。
 ガマン坂終了後に、良い食事にありつけているのか毛並みのよいキタキツネが登山道に現れました。人から餌をもらうことを期待しているのかと思いきや、登山道の真ん中で、マーキングを行って人慣れしたように僕の横を通りすぎて下山していきました。
 キタキツネは、エキノコックスに感染している可能性があるので、タンポポ駆除は、手袋着用か終わったあとは手洗いが必須ということがわかりました。登頂後に食事をするなら、タンポポ駆除はやはり下山時がよさそうです。
 タンポポ駆除を始めると、景色よりも地面の黄色や綿毛となった白いタンポポが目に付き景色を望む余裕など生まれなくなってしまいますので、景色は登頂時や登りで楽しみましょう。

 タンポポ駆除を始めると、開花した黄色い花は目に付き取りやすいです。花が一旦蕾に戻り、綿毛の蕾状態となるものは探さないと見つけられないため、綿毛が開く前のものをよく探して優先的に駆除するようにしました。綿毛が開くと、風で種が飛びますので種まきは止めることができません。綿毛が飛び去ったようなものも、多くは種が数個残っている状態です。

タンポポの綿毛

残った種

綿毛が開いたものは、種が飛ばないように、風を防ぐように風上を手背にあて手で包み込むようにしてから、そっとつんで、油断せずに袋に入れます。

風を受けないように包み込む

種を飛ばさないよう袋へ

タンポポ駆除途中に2名の登山者に「タンポポ協力隊お疲れ様です」と声をかけていただきました。町の登山部ではないし、隊として動いている訳ではなかったですが、西別岳のタンポポを駆除する登山者は、協力隊になれるんだなぁとほっこりしました。タンポポを駆除する方には、このように声をかけるとよいのかもしれません。この日の成果は1袋いっぱいでした。

6月4日

このことをフェイスブックに乗せてから2週間後に再度登山をしましたら、登山者の皆さんが駆除したのか、整備のときに駆除したのか不明ですが、ほとんど摘まれており、成果は1/3袋でした。

6月18日

 西別岳は高橋利助さんを中心に様々な人が整備され、気軽に登れ景色もよいことから初心者から子どもたちまで登山者も多いです。その他、僕にとって思い出深い場所でもあります。今はなき北根室ランチウェイ72kmの最終関門でありました。2泊3日のロングトレイルで、1泊目はテン泊しました。5月の道東寒く、寝ている途中で突然背中に水が伝ったのかと驚いたら、それは外気で気温は5℃でした。
 二泊目は、西別岳山小屋で翌日西別岳から摩周岳、摩周展望台から美留和駅という場所でゴールを迎えます。西別岳小屋で薪をくべて暖かく、同じくロングトレイルに挑戦する人たちと寝ることができたのは、至福の思いでした。
 尽きかけた水を補給することができ、西別岳を登ります。雪の残る西別岳から摩周湖外周あたりでリタイヤしたい気持ちと戦いながら摩周展望台に到着し、摩周展望台レストランで味噌ラーメンを食べたときは「助かった」というのが正直な気持ちでした。観光客からは、とんでもなく疲労した人が展望台にいることについて疑問にみられていたかもしれません。
 この経験から、西別岳は僕にとってただならぬ山、思い出深い山となっています。西別岳だけからは少々遠くに在住しているので、毎月は厳しいながらも折を見て西別岳登山、タンポポ協力隊活動はしていく所存です。
 北海道百名山の一つである西別岳を登山する際には、高橋利助さんを思いながらリスケ山を登り、そして下山の際には手袋または手洗い必須でタンポポ摘みのご協力をお願いいたします。

西別岳小屋

看板だけ残るロングトレイル

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