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山の日コラム

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事務局コラム

沖縄県の魅力 その3 〜全国大会開催に寄せて〜 今井通子

2023.06.29

全国山の日協議会

1)国頭村

国頭村は2023年8月10日、11日に行われる”第7回「山の日」全国大会おきなわ”の開催地の一つです。沖縄県内の最高峰は、石垣島にある於茂登岳(標高526m)ですが、第二位で沖縄本島では最高峰の与那覇岳(標高503m)がある国頭村内は「山の日」全国大会開催地の一つとしてふさわしい場所です。が…。前回、国頭村にある森林セラピー基地・ロードについてお伝えするとお約束しましたので、今回は沖縄県にある唯一の森林セラピー基地である沖縄本島北部の国頭村での森林セラピーについて記します。

与那覇岳登山コース内

2)国頭村の森林セラピーロード

セラピーロードは4コースあります。森林セラピーの拠点施設のある国頭村森林公園のコースは、森の中に広々とした場所が点在し、バンガローやテントを張るための板場、オートキャンプ場やビジターセンター、トイレ、シャワー施設等があり、その周辺の森へすぐ向かえるようになっています。全長3km程の林間遊歩道の中には浮桟橋が架かっている湖もあり、森林の中で過ごし戻ってくると、東シナ海に浮かぶ島々や羽地内海が一望出来る石畳の展望台があり、ここは夜間は星空観測にも使用するそうです。庭園のような柵がついた遊歩道を囲む森の樹種はスダジイ(ブナ科シイ属)が多く、最近ここを訪れた友人は「どんぐり(シイの実)がいっぱい落ちていました。」と言い、ラッキーにもヤンバルクイナもいたと写真を見せてくれました。

どんぐり?

3)与那覇岳登山コース

亜熱帯特有の自然真っ只中の大地を踏んで歩けるのが与那覇岳登山コースです。両側に高々と成長したヒカゲヘゴが山道という空間に向かって、太陽光を奪うかのように両側から覆い被さったり、細長い幹の常緑広葉樹の群れが陽光を求めるようにグングン伸び、緑の天井となってパラソルのように林道を日陰にしてくれ、時々目にする、朽ちて斜めになった太い幹にはコケがビッシリ生え、いかにも亜熱帯の森という様そうを呈した山道を歩きますが、与那覇岳山頂へと登山するのではなく、高低さ25m程の道を1400m行って帰ってくるので、例えばヒカゲヘゴ(ヤシの木に似ていますが、木本ではなく日本最大の木生シダ)の雄大さを見上げたり、幹の部分のサルの顔に似た模様(葉柄が落ちた跡)の面白さを観察したりと楽しみながら歩けます。また、ここが一番天然記念物のヤンバルクイナやノグチゲラ等々に会えると期待の持てるコースだそうですが、残念ながら私たちが行ったときは留守でした。

パラソルのようなヒカゲヘゴ、新芽、葉柄の落ちた後の模様

4)比地大滝遊歩道コース

沖縄本島では最大の水量と落差(25.7m)の滝を見に行ける比地大滝遊歩道コースは、渓流に沿って流れの音を聞きながら歩ける爽やかなコースです。たどりついた滝の姿は、両側をガッシリとした大岩に囲まれた流れが落ち口から一段下がって放射状に広がる美しさ。又、途中の吊り橋も両側が囲まれていて安心です。亜熱帯特有のシダ類が聴覚だけではなく視覚も楽しませてくれます。

比地大滝

5)やんばる学びの森(ネーチャートレイル)コース

やんばる(山原)とは山々が連なり鬱蒼とした常緑広葉樹の森が広がっている地域という意味で、現在主に沖縄本島北部の豊かな森林が広がる地域を指すとされているものの、元来は特定の地域が決まっていた訳では無かったようです。従って、やんばる学びの森(ネーチャートレイル)コースには、やんばるをジックリ見せるためなのか他のコースとは異なり、地上から立ち上げた板の廊下、樹幹通路があります。ここへは日中と夜間に行きましたので、ナイトツアーの様子を記します。

森林セラピーロードにある「森の回廊」

ガイドさんを先頭に、ヘッドランプを頼りに地上2~3m上部に設置されている樹幹通路を歩き始めて10分、ガイドさんが「グルっと回って戻って来ますので。」と言い、私達は、一人また一人と10m位の間隔で置き去りにされました。その場でヘッドランプを消して聴力の駆使に集中して耳を澄ますと、遠のく人々の足音がやがて消え、微風にそよぐ木々の葉擦れの音が聞こえ、遠くの方からは、キャッキャッと騒いでいるらしい子供の声が風に乗って届いてきて、その音源のあたりがキャンプ場のようでした。但し、暗闇に目が慣れてくると、眼前の景色が白黒で見えはじめ、光を求めて仰ぎ見ると周囲の木々とその隙間から微かに見える上空には、星が一つまた一つと輝いていました。

山中でテントを張ったりビバークして、降るような星空を鑑賞するのは当たり前でした。ナイトウォーキングのツアーでバナナ園に向かって懐中電灯を当ててフルーツコウモリが慌てて飛び立つ姿を追った事や、そこここに光を当てて木の実や花々、寝ている昆虫や小動物を見て回った経験も一度や二度ではありません。逆にヘッドランプを忘れてきて、薄明りを頼りに夜道を歩いて、目的地にたどり着いた事も有りますが、明かりを消して目が慣れるまで、その場に座しているという遊び方は初めてでした。沖縄は、一島おきにハブが生息していると聞いていましたが、ここにいるハブは姫ハブなのでと事前に伺っていましたし、闇を恐れないかぎり、このアイデアのユニークさには、また一つ自然の楽しみ方を教えられた良い経験だったと思いました。

山の日のイベントの中では、このコースのトレースも含まれています。
夜ではなく8月10日(木)の07:30に那覇の県庁前出発で、やんばる学びの森の森林セラピーを歩くのは、【1 大石林山トレッキングと森林セラピーツアー】というコースです。
13:40頃に森林セラピーコースを歩きますので、歩きながら闇夜に一人座していると、何が聞こえ何が見えるか想像しながら歩いてみるのも楽しみの一つかと思いますので、このトレースには是非参加してみてはいかがでしょうか。

やんばる学びの森

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