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山の日レポート

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通信員レポート

やんばるのシダ

2023.04.22

全国山の日協議会

文・写真提供:沖縄山岳会の坂口民子さん

山歩きが好きで仲間にもめぐまれ、やんばるの森をあちこち歩く機会がおおい。よく目にするシダにも関心をもつようになって数年、シダについて書いてみたい。

沖縄本島北部はやんばるとよばれ、山は 亜熱帯常緑広葉樹林で被われている。イタジイ、イジュ、リュウキュウマツなど、場所によってはツバキ、コクテンギ、シマタゴなどをよくめにする。
尾根から斜面を下って、沢に近づくにしたがってシダが山道をおおってくる。目の前と言わず、頭上を覆うこの圧倒的な量のシダ、同定するのにどこから手をつけるといいのかわからなかったが、大型シダを判別できるとかなり眼前のシダが整理できるのではないかと思いついた。

大国林道長尾橋から

へご科

まずへご科でよく目にするヒカゲヘゴ、ヘゴ、クロヘゴを同定することにした。

○ヒカゲヘゴ、木生シダで高く成長するからいやでもめにつく。水辺だけでなく、林道沿いにも他の木々に負けず茂っている。

那覇市近郊

○ヘゴ ヒカゲヘゴほど高く育たない。枯れた葉が幹にぶら下がっていて、すっきりした姿ではない。大きい棘が葉裏や葉柄についていて、傾斜地で支えにしようとうっかりつかんで痛い思いをした。

ヘゴ

○クロヘゴ 柄が黒っぽく、すべすべ。やんばるの森にはよく似たシダがあるので、まだ葉裏、と株元の確認は必要だ。

森の中でよく目にする他の大型シダ

次に森の中でよく目にする大きいシダというと、
○リュウビンタイ(リュウビンタイ科)独特のミラーボールのような丸い根茎がある。ホソバリュウビンタイは葉が大きく周囲に葉を垂らしてビックリするほどの大きさ。
○タカワラビ(タカワラビ科) 軸が黒っぽく、ツルツル。ふさふさの金髪のような毛が根元にある、大きいシダだが、茎が立ち上がらない。
○ヒリュウシダ(シシガシラ科) ソーラスが真ん中に一直線、新しい葉が赤く目を引く。

ヒリュウシダ 

○カツモウイノデ(オシダ科)とにかく褐毛、やんばるでは林道沿いにどこにでもあり、最初にわかるようになったシダのひとつだ。
これで少しは片付いたかと思ったが、成長中のこどもシダはよくわからないことがあり困ることもあるが、目の前の大きい部分がすっきりすると、他に目をやるゆとりがでてくる。

昨年暮れ尾根の縦走路で見かけたシダを確認するため伊湯岳の小沢に入って登っていった。この沢はイワヒトデがあちらこちらにあるが、その中に ”おお、オオイブキシダ!”とおもったシダを見つけたが、同じヒメシダ科のコバザケシダと教えていただいた。初見のシダで、嬉しかった。

コバザケシダ

コバザケシダの葉裏

まだ会ったことのないシダがたくさんあり、これからもやんばるにかようことになりそうです。ただ、シダ見というとつきあってくれる仲間が少なく、一人で入山することは躊躇される場所が多く、これが問題でもあります。

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