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山の日レポート

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通信員レポート

山岳スキー競技日本選手権 未完走記

2023.02.21

山の日通信員
認定NPO法人 富士山世界遺産国民会議
大庭 大

スキーと登山を融合した欧州発祥の山岳競技、SKIMO(スキーモ)。「Ski Montaineering」の略語で、山岳エリアに設定された上り下りを含むコースを、スキーで周回して戻ってくる時間を競うタイムレースです。登りではスキーにシールをつけて登高し、下りはシールを外して踵を固定して滑降。またコースの一部の急斜面や岩場などでは、スキーを外してザックに取り付け、ブーツ歩行で通過するように設定された区間もあります。2026年ミラノ・コルティナ冬季五輪(イタリア)ではスプリント競技が追加種目として採用され、ヨーロッパでは人気のスポーツです。
そのSKIMO。1月28,29日に富山県黒部市宇奈月温泉で「第16回山岳スキー競技日本選手権」が開催されました。私もトップ選手たちに混じって、出場してきました。

インディビジュアル種目は宇奈月温泉街からスタートします。 ©️JMSCA

初日の1月28日はオリンピック種目のスプリント競技で私は初挑戦。30秒おきにスタートする男子シニア予選の最終走者としてスタートしました。私がスタートしてから3分後には女子シニアの選手がスタートします。ゴールまでに女子トップに抜かれないように必死に登って滑って、なんとか抜かれることなく、9分26秒でゴール。男子のトップ選手の2倍以上のタイムで、出場24選手中22位でした。

スプリント競技スタート直後の筆者

先頭はスプリント種目男子シニアで優勝した島徳太郎選手。©️JMSCA

1月29日はインディビジュアル競技。宇奈月温泉街をスタートして、宇奈月スノーパークとスキー場外の山頂チェックポイントを5周回する距離12.3km累積高度1407m(男子シニア)のレースです。
スキーをザックに取り付け温泉街をスタートすると、選手たちは猛ダッシュでシール登高のトランジットポイントへ向かいます。

シール登高のトランジットポイントへ。最後方グループのゼッケン128が筆者。©️JMSCA

シール登高を開始すると、ビンディング装着時のチェックミスのため踵が固定されてしまい、一度スキーを脱いで履き直すことになり、いきなりのタイムロス。最後方からポツンと離れて追うことになってしまいました。

スキーを履き直す筆者(苦笑) ©️JMSCA

インディビジュアル競技のコースレイアウト。山頂のCP2を5回取ってゴールします。

前々夜と前夜にたっぷりと雪が降り、スキー場外のコースは新雪のシール登高と滑走となりました。レース中に糊の効きが悪くなることに備えて、スペアシールをザックに入れて行きます。実は、スペアシールにスキンワックスを塗るのを忘れていて、シールを装着したら新雪がシールに玉になって付着してしまい、その雪を剥がすために、またまたタイムロス。新雪の滑りにもたついたり、トランジットに時間がかかったり、最終5回目のCP2への登りに向かう前のCP3での2時間30分関門通過が危うくなってきました。結局、複数のミスが数十秒、数分と積み重なって、最後のCP3関門を10分オーバーして、完走は成りませんでした。
昨年はレース中にストックを折ってしまいストック1本でレースを続行して、同じく最終の登り手前でタイムオーバー。還暦過ぎてのSKIMO日本選手権挑戦は、これで2年連続でDNFとなりました。来年こそはリベンジを目指します。

山頂のCP2直下の新雪の不整地を滑る筆者。 ©️JMSCA 

SKIMO競技に使われる用具は、山スキーで使われる用具に比べレース用により軽量化されています。例えば私が履いているブーツは片足で580グラム。山スキー用ブーツの1/3程度の軽さです。スキーは900~1000グラム、ビンディング170~180グラム程度。初めてSKIMO用具で山に入ったときは、雪山を自由に遊び回れる翼を得たような感覚でした。
SKIMOにご興味を持たれた方は、ぜひ、下記の「SKIMO JAPAN」サイトをご覧ください。
2月27日~3月5日にはスペイン、ピレネー山脈 Vall de Boiで世界選手権が開催されます。

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