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山の日レポート

山の日レポート

通信員レポート「おきなわ」

沖縄クライミングシリーズ その1

2023.02.21

全国山の日協議会

渡名喜島:未知の岩壁に挑む

本年8月「山の日」全国大会が沖縄で開催されます。
大会を盛り上げるため「山の日」ホームページでは、沖縄の山や自然を紹介してゆきます。
沖縄県山岳連盟の比嘉正之さんが、沖縄県でのクライミング事情を5回にわたり紹介してくれます。
ご期待ください。

このピラーをナチュプロで登れるのか考えている様子の比嘉正岳さん(息子さん)

文・写真提供:沖縄県山岳・スポーツクライミング連盟の比嘉正之さん

「山のない沖縄で山の日全国大会ができるのか?」ということですが、低山ならばあります。
今年の山の日は、沖縄島北部や西表島の亜熱帯の緑のジャングルを舞台に、生物観察が中心のイベントになりそうです。
補足する形でこのシリーズでは沖縄でのクライミングについて書いてみます。

那覇、渡名喜島、久米島をむすぶフェリー

渡名喜島

那覇市の北西58㎞
東シナ海に浮かぶ人口321人(2023年1月)
面積3.84㎢
周囲12.5km
最高標高179mの島

フェリー船上から見た南岸岩壁

2002年頃「渡名喜島ジオパーク構想」という新聞記事で大岩の写真を見て興味を持ち、合計4回訪れています。
南岸の高さ170mほどある中生代~古生代石灰岩の岩壁を、今年のお正月に息子(比嘉正岳)を伴って初めて登ってきました。

藪の中を右往左往すること2時間、下降できそうなポイント見つけました

岩壁取りつきへのルートを探す

断崖の縁沿いに続いていると期待していたアプローチはすぐに途切れ、サルカケミカンの棘が引っかかる強烈な海岸風衝林に突っ込む藪漕ぎ2時間、岩塊がゴロゴロする浜に、ここなら懸垂できるだろうというゴルジェの上に来ました。(フェリー船上から見た南岸岩壁写真中央の濃い緑の右側。さらにその右のカッコいいのっぺりした壁ではなく)
このラインを狙ってというより、これ以上進む時間も厳しかったので正直たまたまですね。

ルート上の浮石を除去しながらの懸垂下降

誰も登っていない岩壁なので、樹木や岩角から支点を取り、注意深く浮石を掘り出したりしながら懸垂すると、都合よく高級盆栽のようなガジュマルがしっかりと壁に張り付いていたのでピッチを切りました。
そこからロープを下すと傾斜がゆるい斜面までロープが届いたので再び懸垂、さらにまだその下は急傾斜だったので、都合3ピッチ懸垂しました。
着いた浜は大ボルダーがゴロゴロする魅力的な場所でした。たぶんボートで来た方が簡単でしょうねえ。

岩壁全景:鬼の面に似ているので、ルート名は「オニキャプタン」

登攀開始:2ピッチ目でフォール!

1ピッチ目5.9はフィックスしておいたロープで登り返し。
2ピッチ目50m10bA0は私がリードしましたが、少しかぶった凹角で、左手で持ったジャグが剥がれてフォール。下のクラックにセットしていた7番のナッツで止まりました。
「父ちゃん、どこかぶつけてないか?!」下方からビレーヤーの息子に聞かれましたが、どこもぶつけた所はなくただロープにぶら下がっておりました。
こういうのを沖縄語でマブヤーマブヤー(魂、魂)と言います。

2ピッチ目をフォローする息子

3ピッチ目交代、息子がリード

3ピッチ目30m10aは息子がリードして登攀を終えました。

完全にフリーでは登れなかったのですが、日が暮れてしまったのでとにかくヘッドランプの灯りで撤収しました。
沖縄最大の岩壁を開拓クライミングできたので私たち親子は満足でした。
断崖下の暗い海上には漁船とおぼしき灯火がひとつ、ふたつと揺れておりました。

3ピッチ目は交代して息子がリードするところ

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