山の日レポート
通信員レポート
夏野菜三昧
2022.08.09
新潟県上越市の山奥で家族と共に小さな農業を営んで8年目になる鴫谷玉実さんからのレポートです。
盛夏。この山の村でも、暑さで景色が揺らいで見える日があります。
山の日を前に、日本アルプスの山々に涼を求めて飛んでいきたい気持ちが募りますが、夏は農家にとって稼ぎ時。特に、我が家は十全ナスという新潟県民の大好きな浅漬け用のナスを160本作っており、毎日、朝と夕方に収穫しなければならないため、山の畑の中を行ったり来たりする日々です。
皮が薄く、身がしまってほのかに甘い十全ナスを楽しみにしているのは、人間だけではないようで、困ったことに、タヌキやアナグマ、ハクビシンといった山の獣たちも畑にやってきます。そして明日には収穫できると思っていたナスを一夜のうちに片っ端から食べて行くことも。翌日、無残に食べ散らかされたナスと畝間に残された糞を見つけてがっくり。慌ててネットと電気柵で畑を囲い込みます。
こうして手をかけて作ったつやつやのナスを、村の加工所で浅漬けに加工し、ガブリと丸かじり。しょっぱさとナスの甘味がたまりません。
家の裏の自給畑でも、春に植え付けた野菜たちが、次々と収穫を迎えます。ミニトマトは、その場で子供たちの口の中へ。キュウリはだんだん食べきれないほどの実をつけるようになり、佃煮や塩漬けにして何とか消費。インゲン豆やピーマン、シシトウ、ズッキーニと毎日野菜で食卓が溢れかえります。
枝豆が採れ始めると、それまでせっせと食べていた他の野菜たちへの箸の手がピタリと止まってしまいます。
「今日はどのくらい茹でる?」もぎ取ったばかりの枝豆を前に長女の柚希に尋ねると、「ストップっていうまでザルに入れてね」と。そして、ザルが枝豆で山盛り一杯になるのを見届けて「ストップ!今日はこのくらいでいいよ」とのこと。
夕飯時には、「マメください!」という次女野詩の声が時折聞こえるだけで、大人はビールを片手に、子供は麦茶を片手に黙々と枝豆を食します。それからようやくご飯や他のおかずを食べ始めるので、ほかの野菜の消費が減るわけです。
次はトウモロコシの時期。ハクビシンとの攻防戦に参りそうになりますが、何とか美味しくいただくことができました。残る一畝は一本たりとも食べられないように、対策を考えなければと思っています。
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