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第1回大会から第10回大会へ~山を想う心を未来へつなぐ~山の日2026メッセージ
2026.08.09
岐阜県には「名峰」の名にふさわしい山が数多くあります。
穂高岳、槍ヶ岳、焼岳、黒部五郎岳、乗鞍岳、御嶽山、白山、恵那山、伊吹山……。これらの山はすべて深田久弥が著した『日本百名山』に含まれており、選考の基準とされた山の品格、歴史、個性いずれも高いものを備えています。
ちなみに岐阜県の最高峰は奥穂高岳(3190m)。ただし山頂は長野県との県境に位置しており、県をまたぐことのない最高峰は乗鞍岳の大日岳(3014m)になります。じつは先に挙げた山の山頂部は、すべて隣の県と接しているのですよね。
そして、大日岳は単独のピークというよりも乗鞍岳という総体山名の一部と考えた場合、他県と頂上を分け合うことのない岐阜県の最高峰は笠ヶ岳(2897m)になるのです(注:2025年4月1日に公開された国土地理院による全国の標高改訂により、それまでの2898mから1メートル低い2987mになりました)。

2025年8月、笠ヶ岳山頂をバックに
笠ヶ岳の名山たる由縁は高さだけではありません。北アルプスの主脈からひとり離れて独立峰的にたたずむ堂々たる品格、播隆上人が登って槍ヶ岳開山をめざすきっかけとなった深い歴史、どこから眺めても美しい笠の形を崩すことのない個性的な山容……。これこそが岐阜県を代表する名山と断言することができるでしょう。

抜戸岳から望む奥飛騨の名峰、笠ヶ岳
この笠ヶ岳には学生時代、何度も通いました。大学三年のときに山岳部の主将を任された際、思いついた年間計画が「笠ヶ岳研究」だったのです。
ひとつの山を四季にわたり、あらゆる角度から、さまざまなスタイルで登ることで、その山の本当の魅力を味わいつくそう…。そんなことを考えたときに思い浮かんだ山が笠ヶ岳だったのでした。
頂上に向かう一般登山道が2本しかない笠ヶ岳。しかし雪の尾根や岩稜や沢を登路に選べば、ほとんど人に会うこともなく、さまざまな登り方が楽しめるものなのです。
具体的には、積雪期は笠谷経由の南西尾根、栃尾から憲三尾根をたどって錫杖岳、槍見温泉から西尾地尾根を経て錫杖岳経由の笠ヶ岳、新穂高温泉からは広サコ尾根の東北支稜や穴毛谷第三尾根などを踏破しました。クライミングルートとしては四ノ沢左俣第一岩稜やピナクル東南壁などを登攀。沢登りでは笠谷、小倉谷、穴毛谷五ノ沢や六ノ沢を遡行。そのほか残雪期には穴毛谷二ノ沢や四ノ沢のルンゼ登攀やスキー滑降など……。とにかく季節を問わず、ひたすら笠ヶ岳に通い詰めたものです。おかげで笠ヶ岳についてはちょっとだけ詳しく語れるようになりました。

静けさに満ちた笠ヶ岳穴毛谷の岩場

笠ヶ岳の岩場。穴毛谷四ノ沢

涸沢岳西尾根から見た冬の笠ヶ岳

笠ヶ岳山頂をバックに大学4年生の私
笠ヶ岳というひとつの山だけで数多くの「山に親しむ機会」を得た学生時代。ときには豪雪に阻まれ、雪崩に吹き飛ばされ、落石の恐怖に怯え、ビバークに凍えるといった試練もありましたが、自分たちだけでルートを見出し、生きるための判断を下した数々の経験が、ヒマラヤの未踏峰に向かうための大きな自信につながったことは間違いありません。
自分を育ててくれた山、笠ヶ岳。今、あらためてその恩恵に深く感謝するとともに、笠ヶ岳を擁する岐阜県高山市で開催される第10回「山の日」全国大会がご盛会となることをお祈り申し上げます。
山と溪谷社 編集主幹
日本山岳会会員
編集者 萩原浩司

槍ヶ岳に昇る朝日。笠ヶ岳山頂にて
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