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山の日レポート

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山の日インタビュー

【連載⑮】東奔西走 ダルマ・ラマ 富山からネパールと日本、世界をつなぐ

2025.03.01

全国山の日協議会

第15回 続編をお届けします

鹿野  「で、それ以来、ダルマさんは富山ネパール文化交流協会の会長を、約10年続けているわけですね。」
ダルマ 「会長というけれど、実際の役割は、活動を支えてくださる皆さんに、いろんなお願いをすることですね。私自身、富山に住んでいるネパール人全体を把握しているわけでもない。けっこう出入りもありますし。だからなにか行事をするときには、ボランティアで世話をしてくださる地域の方にお願いして、連絡も口コミでいもづる式っていうんですか、それぞれが知っている人に呼び掛けてゆくだけです。今後もそれでいいのか、ちょっとわかりませんけれど。」
鹿野  「で、例年やっている行事としては、秋のダサイン、春のロンサール、それはどちらもネパールの年中行事というか、祭礼ですが、ほかに不定期の食事会や勉強会みたいなものもあるそうですね。」
ダルマ 「はい。で、特にダサインやロンサールには、富山県内に住んでいるネパール人が多く集まります。今年(2024年)のダサインには先生にも参加していただきましたけれど、どんな風に感じました?」

富山県南砺市利賀の「瞑想の里」の遠景

鹿野  「まず今年のダサインの実施状況をざっとまとめておくと、日程は10月の13,14日で、これはネパールのダサインの最後の2日間にあたりますが、たまたま週末でもあったから、こちらで働いている方も参加しやすかったわけですね。場所は富山県南砺市利賀の「瞑想の里」、ここは市町村合併で南砺市になるまえの利賀村だったころ、ネパール西部のトゥクチェ村と姉妹村関係にあって、トゥクチェに住むタカリー民族の絵師が描いた大きな仏画を始め、ネパールの、主に仏教関係の資料が展示されているほか、かなりの人数が宿泊できる研修施設もあって、そこを借り切ってやった。
今年の参加者はネパール人が80人余り、日本人は多くがボランティアとしてお世話をする方たちですが、20人ほどで、全部で100人を超えていました。13日の午後、三々五々集まってきてネパール風の料理をつくり、夕方、ダサインはもともとヒンドゥー教のお祭りだから、ちょっとしたヒンドゥー教的な儀礼をした後、夕食、あとは僕は途中で引き上げちゃったけれど、若い人たちは夜中の3時ごろまでかな、ネパールの音楽をかけて踊ったり、おしゃべりをしたり。14日は朝食後、掃除や後片付けをして、昼前に解散したわけですが、毎年そんなものですか?」
ダルマ 「利賀の施設を借り切って1泊で、っていうのは3回目かな。今年はお天気が良かったこともあってか、参加者はこれまでで最大でしたね。実はきちんとした予約も取っていないから、全部で80人くらい集まるかな、くらいに考えてたんですが。まあ、食材だけは少し多めに用意してたので、なんとかなりました。ここは、ちょっとなにかが足りなくて買い足すっていっても、車で20分くらい行かないとお店もないような場所ですから。」

参加した多くのネパール人女性は民族衣装を身にまとっている

鹿野  「この協会のダサインのことは前から聞いていたけれど、実際に参加してみて、やはりちょっと感動しました。まず参加しているネパールの方は、大部分が来日してそれほど時間がたっていない若い人達なわけだけれど、本当に楽しみにしていたんだなっていうことが、見ているだけでひしひしと伝わってきた。」
ダルマ 「若い女の人たちは、ふだん着る機会のない民族衣装を着て、いろんな装身具もつけて、ネパールのことを思い出しながら踊ってたんでしょうね。ふだんの決まりきった生活でたまっていたストレスを発散するというか、憂さを晴らすみたいな面もありますね。」

ダサインでは年長者から祝福の印である赤く染めたコメ(ティカ)を額につけてもらう  

鹿野  「ただ、ダサインといえば、ネパールでは10日以上お休みになって、あちこちに働きに行っている人も、出身地に帰って家族や親族が集まってお祝いをするのが基本ですよね。でもここでは、出身地も宗教も、民族やカーストも異なる人たち、もっと言えばそれまでほとんど面識のなかった人たちが集まって、一緒になってお祝いをする。」
ダルマ 「はい。やはり日本という外国にいるからこその、お祭りの形であるのはたしかです。で、富山県内にいてもふだんはつきあいが無いというか、存在すら知らないでいたネパール人同士が、ここで知り合って友達になって、じゃあ今度のお休みの日に一緒にご飯を食べようか、なんていうことにもなります。以前、なにかで聞いたからっていうので、新潟県から来たネパール人がいましたし、今年も、これは日本の方ですが、わざわざ神奈川から来た方がいます。こういう集まりだから、別に富山県内に住んでいなくても、全然かまわない。参加費だけはいただきますけれど。」

料理はネパール人、日本人の参加者が一緒に行った

鹿野  「経費は参加費だけでまかなえるんですか。」
ダルマ 「いえ。県から国際交流のための補助金をいただいていて、足りないところはそれで補っています。」
鹿野  「なるほど。それにしてもダサインは、いろんな新しいつながりが生まれる場所でもあるわけですね。」

出来上がったネパール料理

聞き取り:2024年11月30日 葉っぴーファーム
構成:鹿野勝彦
写真:ダルマさん提供

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