山の日レポート
自然がライフワーク
「小学校校歌から観た山と海の地域環境史①」高畑ニュース#1884(2024.7.28)
2024.09.11
当協議会、科学委員会委員の名古屋大学 溝口常俊 名誉教授から
「小学校校歌から観た山と海の地域環境史」についての投稿を戴きましたので掲載させて頂きます。
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昨年、全国山の日協議会の評議員をお引き受けするにあたって、他の山登りのプロが並ぶ委員の中にあって、数少ない文系出身の私の役目は、何かを考えてみました。
山の日を全国民に広めるにあたっては、
① 高山(低山を含む)を目指すだけではなく、平野部(島、海村を含む)の小山にもその歴史的意義(防災対処のための見晴らし山など)があることを伝えること、
② 子供にも山を身近に感じてもらうこと、
と提言しておいた。
②について思いついたのが、小学校校歌で、そこで身近な山がどれだけ歌われているのであろうか、それを全国約2万校を対象に調べ始めた。Netで小学校名はわかるので、そのリストを作り、個々の学校案内を見るのだが、昨年夏に始めてまだ数百校にあたっただけだが、残念ながら「小学校校歌」の案内を出しているのは半数に満たなかった。いずれ各校に「校歌送付」のお願いを出せば入手できるであろうが、まだそこまではしていない。
この半年、校歌チェックを怠っていたが、先日富山県の元大門小学校の島田先生から砺波周辺の8校(内中高1校ずつ含む)の校歌のコピーが送られてきたのを見て、校歌チェックを再開せねばと思い立ったところである。
最初は地元の山がどれだけ校歌に歌われているか、だけをチェックしだしたのだが、すぐに「山」だけでなく、「海」「川」「平野」も拾うことにした。さらに「神社」「動植物」「著名人」「色」などもメモすることにした。
そこでしばらくは調査目標を「小学校校歌から観た山と海の地域環境史」とし、①、②の番号を付け、継続してTニュースで書き留めておきたい。
校歌についての本格的研究となると、校歌制定年、作詞・作曲者についても関係させて論じなくてはならないが、今回はそれについては言及せず、「具体的な郷土色」を拾い上げることに専念していくことにした。
前記の砺波平野の8校中7校には、具体的な山名が登場していた。全国的に著名な「立山」が3校で歌われていて、それは納得するが、その他に地元民の為の山である「牛岳」「八乙女」「医王山」「五箇山」が出て来る。さすが山に富む県であるなあ、と納得。
さて、いままでのところ、郷土色が出ているのはそれほど多くなく、約半数の学校では校歌の中に出て来る学校名がなかったらどこの学校の校歌かわからない。
その1例としてある小学校校歌を載せておこう。どこの小学校校歌かわかりますか?
こうした校歌、いや全校歌に共通しているのは、子どもたちに勇気を与え、仲良く、元気に育ってほしいという思いが入っていることである。
ところで、7/24の愛知県の高校生向けの講演で東日本大震災の犠牲になった岩手県三陸海岸について話をした際に、200余人の高校生のうち誰1人現地に出かけたことがないとのことだったので、「岩手県の内陸部になるが皆さんがご存じの方の出身小学校がここなんです」、と地図で示して関心を持っていただこうと用意はしていたのです。
ついでに校歌も。しかし、時間もなく、震災地でもなかったこともあり、一言も口に出さずに済んでしまいました。
その小学校名は奥州市立姉体小学校です。上述の校歌3番の〇〇の子は、の〇〇は姉体です。
正解は、大谷翔平選手の出身小学校である姉体小学校の校歌でした。
まあ、こうした遊び心で校歌集めを続けていきたいと思っています。
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