山の日レポート
通信員レポート
続々・スプリング・エフェメラル
2023.04.21
2回に亘りスプリング・エフェメラル Spring Ephemeral 「 カタクリやイチゲの仲間、フクジュソウ、エンゴサク、アマナ、コバイモの仲間」等のように春の限られた期間(雑木林の林床が明るいうち)にパッと現れ、パッと咲いて、パッと実を結び、パッと消える特異なライフスタイルをもつ小型の植物群について紹介しました。
以下に前編等のURLを示します。
前編
続編
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春の山野を歩くと、スプエフェと同じ場所に他にもいろんな草花が咲いています。
秋田ですと、エンレイソウの仲間やスミレサイシン、オオバキスミレなどのスミレ類、ミヤマカタバミ、少し遅れてキバナイカリソウ、シラネアオイ、もっと早い時期なら、ミスミソウ(園芸名「雪割草」)やオウレン、ショウジョウバカマなどがあります。
これらの植物は、花が終わってもしばらくの間、地上部分(葉や茎、実)が残ります(秋まで、或いは越冬するものもあり)。
従って、その地上部生涯はけっしてはかないものではありませんが、スプエフェと同じ時期に一緒に咲き、可憐な姿で我々の眼を愉しませてくれるので、スプリング・エフェメラルと一緒に扱われることもあります。
ライフサイクル上ではスプエフェとは言いがたいものですが、同時期に隣近所に咲く花たちを少し紹介します。
ナニワズ、学名「Daphne pseudo-mezereum subsp. jezoensis 」はジンチョウゲ科の落葉低木です。
西日本に多いオニシバリ(ナツボウズ) 学名「Daphne pseudo-mezereum 」に近縁で、夏に落葉する性質があります。
花はナニワズの方がより鮮やかで目立ちます。
① オオバキスミレは豪雪地帯の雪崩斜面などに単品で大群生を形成します。
一方カタクリやシラネアオイとパラパラ混生することもあります。
② スミレサイシンは国内原産スミレとしては最大級の花を咲かせます。
なほ「サイシン」とは、ウスバサイシンに葉の形が似ているためと聞いています。
なおウスバサイシンはウマノスズクサ科で、現在はトウゴクサイシンとされています。
早春、地面すれすれに地味なつぼ型の花を咲かせ、ヒメギフチョウの食草でもあります。
写真では、カタクリの手前がウスバサイシンです。
花が終わった後もなかなか枯れないのでスプエフェとは言い難いのがエンレイソウです。
「あなた おまえ 呼んで呼ばれて 寄り添って」と歌で唄われるニリンソウですが、開花時期はやや遅めです。
他のスプエフェとはあまり混じらず、林地や渓流沿いに単一群落を形成します。
PDFで添付した猛毒植物のハシリドコロは、スプエフェになります。
綺麗なお花畑というテーマからはだいぶ乖離してしまいました。
スプリング・エフェルメラルを育んだ雑木林も(低地では)ゴールデンウィークあたりを境に新緑が展葉し、林床は薄暗くなってきます。
他の下草たちも負けずと生育してきますので、スプエフェ達は急速に店じまいとなります。
従って彼らは、急いで実をつけ、わずか1~2ヶ月後には葉も茎も地下に収納してしまいます。
終わり
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