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応援メッセージ

高校生たちから教わった「山の恩恵」 

2021.08.04

山の日アンバサダー

山の恩恵ってなんだろう

山の日アンバサダーの久保田賢次です。この春から全国山の日協議会の広報担当も担わせていただき「山の恩恵に感謝する」という言葉を、周囲の方々に語って来ましたが、「山の恩恵って、いったいなんだろう」「おそらく私が考える恩恵と、人が考えるイメージは違うんだろうな」と感じていました。
茨城の片田舎、周囲を山々に囲まれた盆地に生まれ育った私にとって、山は物心ついた時から暮らしの中にありました。蝶やトンボを追って野山を駆け回り、小学校の通学路も野イチゴやアケビに舌鼓を打ちながらの楽しいものでした。大人になって登山を趣味とし、職業ともして来た私にとって、「山がなければ自分はいない」ぐらいのありがたい存在です。

新たな恩恵を教えてくれた高校生たち

そしてこの7月末、また新たな「恩恵」を実感したのです。それは「東北の高校生の富士登山」という催しを通してでした。東日本大震災の直後、故・田部井淳子さんらが、「日本一の山に登ることで前に進む元気と勇気を得てほしい」と、被災地の高校生たちを招いて2012年から続けてきたもので、私も事務局長の立場で参画させてもらってきました。現在はご子息の田部井進也さんら田部井淳子基金の方々が運営し、全国山の日協議会からも特別協賛をいただいています。

剣ヶ峰に立つ14人の高校生とスタッフたち

2年ぶりに開催

さすがに昨夏は中止となりましたが、感染対策を万全に2年ぶりに開催。7月28日、参加した宮城県や福島県の高校生14人全員が頂上に立ってくれました。台風の心配に悩まされながらの、高校生たちにとっては初めての富士登山。長い行程を一歩一歩かみしめつつ、一緒に登っている私自身が心から感謝していることを実感しました。過去には100人ぐらいの高校生たちが一緒でしたが、今回は少人数で、ひとりひとりとの触れ合いの機会が多かったせいかも知れません。

登頂日の前日。富士宮口六合目の山小屋から

九合五尺を超えて、頂上へと向かう

富士宮口頂上の神社の前で

「人の恩恵」も「山の恩恵」に他ならない

今、テレビで東京五輪の選手インタビューを見ていて、「悔しくても嬉しくても、涙を流す人が多くなったなあ」と感じますが、この富士山の催しでは、私自身も過去に沢山の涙を流して来ました。何度も立ち止まり最後尾になってしまった高校生らを全員の拍手で迎えた瞬間…、急な豪雨のため六合五尺で断念せざるをえなかったあの年の夏…、入院中の病院から直接来られた田部井さんが、ゆっくりゆっくり歩みを続け、でも登ることがかなわなかった最後の登山…。私にとっての「山の恩恵」。それは山を通じての人との出会いや触れ合いに他なりません。

目まぐるしく変わる雲の動きに高校生たちも魅せられた

登頂の翌朝。昨日登った頂上付近を背後に

富士山本宮浅間大社への参拝が締めくくりとなる

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