山の日からのお知らせ
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【映画】「山の恵みの映画たち2024」のご紹介
2024.09.15
秋も深まる11月、四方を山に囲まれた山形市にて、山岳とそこに暮らす人々の営みに焦点を当てたミニ映画祭「山の恵みの映画たち2024」が開催されます。
国内外から選りすぐった全6作品の上映と豪華ゲストによるトーク、関連展示やワークショップの詳細が発表され全貌が明らかになりました。
ご案内が届きましたのでご紹介します。
自分ほど山を好きな人間はいない
私が山野井泰史さんを知ったのは15年前だ。山辺町の講演会に来てもらうため手紙を書いた。山野井さんを知ろうと、夫妻の山行を記した「凍(沢木耕太郎著)」を読んだ。
圧倒された。
そこには未知の世界が広がっており、今でも作中から伝わる体の芯まで凍ったような感覚が蘇る。私は手紙に「あの極限の中での精神力。自分ならきっとそのまま眠ってしまうだろうと思います。その精神力が、今も山と対峙する源なのではないでしょうか」と記した。
現在は、クライマーである妙子夫人と伊豆の自然の中で二人穏やかに暮らしているとのことだ。手足の指10本を失ったことなど意に介せず、さらなる未踏の岸壁に挑戦する姿は「まさに人生クライマー」!。
そんな山野井さんはSea to Summitと称して海から富士山まで登っている。私も山野井さんにあやかって、自宅から蔵王に毎年House to Summitと称して登っている。僭越ながら、遊び感覚で登っている共通点があると思っている。 「自分ほど山を好きな人間はいない」と語る山野井さんにおおいに共感する私である。(S.T.記)
<アフタートーク>
山野井泰史さん
世界各地の大岩壁や前人未踏の山々に新たなルートを切り開いた、トップクライマー。
“ピオレドール生涯功労賞”をアジア人として初めて受賞(2021年)
山野井妙子さん
日本を代表する女性登山家。
ギャチュン・カン下降中雪崩に遭いながらも奇跡の生還。
現在『山と溪谷』にその半生「凪の人ー山野井妙子」連載中(柏澄子さん著)
武石浩明監督
映画監督、ジャーナリスト。(株)TBSスパークル報道・情報担当。
1996年、山野井氏マカルー西壁密着取材、四半世紀を経て新たに取材を加え、本作公開。
山形と新潟の県境、朝日連峰の懐深くに位置する奥三面(おくみおもて)。先人から脈々と伝わる知恵と手仕事で自然とともにある人々の姿。そんな奇跡のように保たれていた山村がダムに沈む-。
日本を代表する記録映画作家・姫田忠義率いる民族文化映像研究所が、4年にわたり撮影した記録映画の金字塔!
今からちょうど10年前「山の恵みの映画たち」第1回でも上映され、満席の観客の熱気に伝説と化していた本作。私も上映実行委員会故高橋卓也さんから勧められるも満席で入れず、仕方なく映写室から見た。
「こんな映画があるんだ!」と胸打たれた感動が忘れられない。
昨年デジタルリマスターされると聞き、真っ先にリマスター化クラウドファンディングに賛同した。そして本上映実行委員会に参加を決意、偉大なる髙橋卓也先輩追悼の意も込めて上映したいと思う。
あれから10年・・・年々私たちの予想を遥かに越える自然環境の変化に、自然と人間の関わりを映した本作があらためて問いかける。
―人間にとっての進歩とはなんなのか?ー (K.H.記)
<アフタートーク>
田口洋美さん(オンライン登壇)
1957年、茨城県生まれ。『越後奥三面』製作参加をきっかけに狩猟文化研究者となる。狩猟文化研究所代表、博士(環境学)。東北芸術工科大学名誉教授他。
蛯原一平さん
2014年より小国町に居住。現在、町の教育委員会で勤務するかたわら、休日を中心にマタギたちとともに狩猟や山菜・キノコ採りで朝日山地のブナ林へ通う。
日本のサケ科魚類の中で最も源流域に棲むイワナ。かつては山間部を中心に貴重なタンパク源とされながら、いつしか「幻の魚」と言われるようになってしまった。イワナを取り巻く環境は現に、急速に悪化している。気候変動により河川の自己修復機能を超える豪雨が頻発。無数の河川構造物は上流と下流とを分断。魚の数を増やすはずの放流事業はイワナの遺伝的な多様性を奪い、環境への適応能力を低下させているという。
この危機的状況を前に、気鋭の映像作家が画期的なドキュメンタリーを生み出した。
それは緻密なリサーチによってイワナの神秘的な生態を解き明かし、圧巻の映像と美しい音楽で深山幽谷の世界へと誘うスリル満点の科学映画。
「種を守るとは」「自然との共生とは」という普遍的な問いを投げかける、イワナと私たちについての映画。
それは『ミルクの中のイワナ』という、謎めいたタイトルを持つ映画。
さあ、大スクリーンでとくとご体感あれ! (T.E.記)
<アフタートーク>
坂本麻人監督
ドキュメンタリー映像作家。岩手県遠野市を舞台に死生観を探る『DIALOGUE WITH ANIMA』をはじめ、多くのアート作品の監督・監修を務める。
初出演の三船敏郎はその後の名演に通ずる片鱗をみせている。志村喬との共演はここから始まったのだった。
さらに黒澤明脚本、谷口千吉初メガホン、伊福部昭の初映画音楽というからそれだけで話題に満ちている。伊福部は後に「ゴジラ」を始め数々の映画音楽を手掛けることになる。
冬の日本アルプスロケ、物語は強盗3人の逃避行だ。最大の見どころは雪山を必死で逃げ回るシーン。雪崩あり、ロープでよじ登るクライミングあり、まさに山岳アクション全開!
壮絶な逃亡の果てに山小屋にたどり着く。主人と娘の歓待が犯人の心にも雪解けをもたらすのだった。
現在、中々眼にすることの無い35mmフィルムによる上映、必見! (K.U.記)
欲しい物がすぐ手に入り、自分だけが楽しむ生活に慣れている現代。私達は日々誰かの為に費やす時間がどれだけあるだろうか?
無い無いだらけの不便な山村に、突然預けられた都会育ちの孫はわがまま放題だ。そんな孫の思い通りにいかない気持ちを受け止めるおばあちゃん、その表情やしぐさにじっと目を凝らして観て欲しい。優しさは決して当たり前に受けられるものではないけれど、ちゃんと相手に響くことを信じさせてくれる。
口のきけない祖母を、ドキュメンタリーのように見事に演じたのは実際の山村に住むおばあちゃん。初主演ユ・スンホは現在韓国の人気俳優となっている。今回唯一の女性監督作品だ。(K.M記)
オーストリア・アルプスが生んだ心震える物語
男は孤児だった。
養父に奴隷のように扱われるが、彼(エッガー)には唯一味方(老婆アーンル)がいた。やがて愛する人(マリー)に出会う。彼女をいざなう山の小屋は、彼が初めて手に入れた幸せの象徴だ。
しかし全てを奪い去る山の脅威…僅かな思い出を胸に、彼は試練に満ちた日々を凌いでいけるのだろうか。
40ヵ国で翻訳されたベストセラーが鮮烈な映像でスクリーンに!目を瞠る、神々しくも美しいアルプスの山々よ。そしてエッガーが愛したあの場所は、山好きな人なら憧れる。羨ましい限りの究極の山暮らしだ!
彼は幸せだったのか、人の一生とは幸せとは。
かつて体感したことがない、切ないくらいの愛の記憶に貴方は包まれるだろう。 (N.T.記)
【開催内容】
[会期]2024年11月22日〜24日
[会場]フォーラム山形(山形市民会館南隣)
[料金]
前売:3回券 3,600円/1回券 1,300円(9月20日[金]-11月21日[木])
当日:1回券 1,500円(当日券の3回券はございません)
[前売り券販売方法]
オンラインショップ YIDFF Shop(https://yidff.theshop.jp)
山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー、フォーラム山形、ほか
[主催]「山の恵みの映画たち」上映実行委員会、認定NPO法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭
[協力]フォーラム山形
[後援]公益財団法人 全国山の日協議会、山形県
【関連企画】
<イワナのちぎり絵ワークショップ>
新聞紙やチラシをちぎって貼り貼り。自分だけのイワナの模様をつくろう!
日時:11/24[日]16:30-17:30
会場:SLOW JAM(フォーラム山形となり)
定員:20名
参加費:小学生500円/中学生以上・大人1,000円(飲み物代等)
講師:サケ科魚類研究会
申込:下記URLよりフォームを提出
https://forms.gle/z7p5tbqcZtDE34qq5
【博物展】 <山形の山:獣と魚の棲むところ>
クマの毛皮や山岳・渓流の写真、イワナのちぎり絵など、山形の山にまつわる品々が劇場に集結!
会場:フォーラム山形
期間:10/18-11/24
【写真展】<山と人 - そこに暮らすこと、生きること ->
「山の恵み」実行委員有志による写真展。カメラを通して山里に生きる人々の暮らしを見つめます。
会場:SLOW JAM
期間:11/1-24
会場のカフェ「SLOW JAM」では期間限定オリジナルメニュー、山めぐスイーツが登場します!お楽しみに!
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