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山の日レポート

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通信員レポート

みちのく高山植物誌(2)すみれ

2023.05.15

全国山の日協議会

高嶺のすみれは黄色がお好き

前回の「女王コマクサは荒地の魔女かも・・・」に続いて
みちのくの山野草探訪者「モウズイカ」さんからのレポートです。

 ▲  ▽  ▲  ▽  ▲  ▽

東北には『スミレ』がとても豊富な山がある。それは秋田駒ヶ岳だ。
この山の花は先のレポートのとうり「コマクサ」が有名で、私もそれを見るために若い頃から何度も登っていたが、『スミレ』の花を見た記憶はほとんど残っていなかった。

タカネスミレの群生。秋田駒ヶ岳大焼砂にて (2015/06/21) 

スミレの存在を知ったのは約25年前。
いがりまさし氏の著作「山渓ハンディ図鑑6『日本のスミレ』」に
タカネスミレが一面に咲く素晴らしい花風景が紹介されていた。

タカネスミレの群生 (2015/06/21)  

何故、その時まで知らなかったのか。
それは駒ヶ岳に登るのがいつも7月以降だったからだ。
その頃、タカネスミレの花はほぼ咲き終わっている。
登山を再開したばかりの2015年6月に、この花を見るため秋田駒ヶ岳へ向かってみた。

タカネスミレの群生をアップで (2015/06/21) 

PDF:秋田駒ケ岳


秋田駒ヶ岳では一部のエリアで、タカネスミレとコマクサが混生している。

タカネスミレとコマクサの混生 (2015/06/21) 

タカネスミレはその後、訪ねた岩手山でも見たが、
秋田駒のように群生しないで、コマクサと一緒に疎らに生える傾向が有った。
なおタカネスミレの分布地は秋田駒ヶ岳、岩手山と近くの高山に限られる。
(近縁種には北海道の高山にエゾタカネスミレ、北アルプスと中央アルプスにクモマスミレ、八ヶ岳にヤツガタケキスミレがある)

岩手山中腹にて、細かく青白い葉はコマクサ (2018/07/02) 

秋田駒ヶ岳では、キバナノコマノツメも多い。
こちらは葉の形が馬の蹄(駒の爪)に似ることから名が付いたと聞く。
花、葉ともにタカネスミレによく似るが、葉には光沢が無く、薄っぺらな感じだ。

キバナノコマノツメ (2015/06/21) 

生育地は、タカネスミレが裸地に限定的なのに対し、
キバナノコマノツメは草地やかん木の根元などに多い傾向がある。
またキバナノコマノツメは東北に限らず、
日本の高山帯、亜高山帯に広く見られる種類だ(北海道から屋久島まで)。

秋田駒の草地で見たキバナノコマノツメの群生 (2021/06/17) 

秋田駒ヶ岳ではもう一種類、黄色いスミレが有った。
オオバキスミレは本来、低山に多い種類で、ふつうは高山植物とはみなされない。
しかし東北地方では、1500mを超える高所にも駆け上がる。
雪崩が発生するような裸地や笹薮の周辺で見かける。
秋田駒ヶ岳では八合目から登山を開始し、最初に出会うのはオオバキスミレだった。

オオバキスミレ (2015/06/21) 

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