アンバサダー
応援メッセージ
山からの贈りもの
2021.08.03
山との付き合いも長くなった。思えば12歳のときに登った奥多摩川苔山からはじまり、いまだにずっと続いている。それも楽しいとなると、とことんやった。岩や沢はとくに夢中になった。当然、冬もとことんやった。カヌーで川下りも山の延長でこれもまた楽しみのひとつになった。おじさんになってからは花の山にも興味が湧いた。
日本は国土の75%を山地が占めているだけに、山の楽しみ方は実に多彩だ。山は高さや険しさに目がいきがちだが、じつはもっと味わい深いものがあることに気付かされた。たとえば小さな山を連ねた茨城の山上で、うっとりするほど心地いい集落に出会ったことがあった。こうした里山文化は、そこで暮らす人たちの知恵の賜物なのかもしれない。
さらにもうひとつ山の楽しみを見つけた。「超低山」と名付けた、ビルの谷間や住宅地に聳える「山」のこと。高低差20mほどの天然の山や、大名庭園の築山、それに富士塚と呼ばれるミニチュア富士が都心の真ん中に鎮座している奇跡にわくわくさせられたのだ。
調べていくうちに東京が山の都に思えてきた。遡れば、殿様や江戸庶民たちはすでに山遊びをしていた。虫聴き、花見、月見、さらに雪見と、江戸時代から自然に寄り添っていたというわけだ。浅草の隅田川を眼下に三角点を持った待乳山(標高9.8m)だったり、新宿の一角には見事な山容を誇る箱根山(標高44.6m)があったりする。
こうなると地形図を読み解きながら、都心の中に縦走コースまで作ってしまった。小さな山の大きな楽しみと言わんばかりに東京、下町、山手の3大アルプスといった案配だ。
自然でも、街なかでも、山をいつでもどこでも自由自在に向き合うことが出来たら、なんて素敵なことだろう。山の楽しさがまだまだ止まらない。
2021年7月31日
「山の恩恵」についてメッセージをいただきました
RELATED
関連記事など