
清らかな水、爽やかな風、大切な家族。豊かな自然。
変わらずにそこに在る山々。
大好きな故郷にまた会いに行こう。
秋本 奈緒美(あきもと なおみ)
『山の国 松本』
山は季節を連れてくる。
春は麓からかけ上がり、
秋は山肌を彩りながら街へと降りてくる。
夏は鮮やかな緑に包まれ
冬は雪の輝く凛とした世界。
私の故郷『松本』は、昔から国内外問わず、たくさんの方々が観光で訪れてくださり、またさらには山を愛する方々の山への玄関口でもある。
松本は喫茶店の多い街であった。
幼い頃よりナマイキな女の子だった私は、祖父や父に連れられ、プリンアラモード目当てに喫茶店に通っていた。
そこには、文庫本を片手に珈琲を飲みながら意見を交わす学生さんやら、頑丈なリュックサックに重たそうな靴を履いた山男達がいた。
山男。
子供の私の目には、彼らの姿はとても大きくうつり、未知の世界を見せてくれる人達であった。
私は、彼らの話を聞くのが好きだった。
彼らは一様にやさしく、ちょっぴりテレ屋さんで暖かく、山の空の色やそこに在る草花、鳥の姿、声、雲の美しさを語ってくれた。そして、山の恐ろしさも。
当たり前の様にそこに存在している山々が、もっと身近で、憧れとなっていったのは、この頃からであろう。
『大きくなったら山に登ってごらん。』
そんな私が、初めて経験した山登りは、中学二年生の燕岳登山である。
学校行事としてのそれは、やはりとても大変で荷物が重たくて不安定で、道中、頑張っておしゃべりしても歌をうたってもぜんぜん楽しくなかった。
なのに、それなのに、山小屋に到着して、めいっぱい身体を伸ばし深呼吸した時のあの清々しい山の匂ひと、そこから初めて見た圧倒される景色に胸が熱くなった。
あぁ。なんて美しいんだろう。空気も景色も。
翌朝の素晴らしく透明な空の色は今でもハッキリ覚えている。
歳を重ねる度に、色褪せるどころか更に鮮やかになっていくもの達。
愛して止まない松本。
清らかな水、爽やかな風、大切な家族。豊かな自然。
変わらずにそこに在る山々。
四季折々の景色は、過去から未来への贈り物となる。
たまらなく帰りたくなる。
大好きな故郷にまた会いに行こう。
山の夏は本当に素敵なのだから。
第1回「山の日」記念全国大会の開催地は唯一無二の日本が誇る『上高地』
この清らかな神秘の場所。
なんと嬉しいことだろう。
うん。また会いに行こう。
秋本奈緒美
プロフィール
女優 松本市観光大使
秋本 奈緒美(あきもと なおみ)
2013年より松本市観光大使として活動。
最近の出演作品として、
《ドラマ》『南くんの恋人』『タイムスパイラル』
《舞台》『bare』『七転び八時起きの人々』『PRINCE KAGUYA』『空中キャバレー2015』
《映画》『小野寺の弟・小野寺の姉』等多数。
今後の出演作品は、
《舞台》2016年8月『七夕ジャンクション 昭和篇 探偵遊戯と優しいウソ』[東京・博品館劇場]10月『るつぼ』[東京・Bunkamuraシアターコクーン他]11月『忍の一字』 [東京・三越劇場]